no.9 はじめての射撃練習見学。音と煙に、まさかの胸キュン?

ありです。今までハンターさんのお話を聞いて、ますます狩猟への興味が増してきました!狩猟のためには射撃の練習が大事。安全のためには日ごろから銃に慣れておくことも大切とも教わりました。そこで先輩ハンターさんがどう腕を磨いているのか?実際に射撃場での練習を見学させてもらいました。

これが射撃場?またもやありちゃんの想定外。

ありちゃん、着いたねー。今回は神奈川県にある伊勢原射撃場からお届けするよ。

うん、だいぞう師匠に紹介してもらったハンターの虎谷さんに射撃練習を見学させてもらうのだ。

こんにちはありちゃん!……と、犬くん?

カリタローも特殊な交渉術で今回見学させてもらうことになりました。
※実際は射撃場内に犬を入れることはできません。

よろしくワン!あ、さっそく車からいろいろ出てきたね。

わあ!銃のケースだ!パッと見、釣り道具みたい。

あはは、面白いところに感動しているね。

はい、ずっと猟銃を持ったらどんなケースで持ち運びしようか考えているんです。

まったく知らない人が見るとゴルフクラブでも入っているように見えるけど、メーカー名が書かれているから、ちょっと知識のある人には猟銃ってわかるね。

何が入っているのか、あまりわからないケースにしたいんです。猟銃を持っているってわかったら不安を感じる人もいるんじゃないかと思って。

確かにそうだね。車だけの移動なら他の人の目に触れなくていいんだろうけど。

あと、色やデザインも気になりますね。アウトドアアイテムもオシャレなバッグが増えているし。コーディネートも楽しめる方がいいな。

それは女性らしい視点だね。

オシャレなケースが見つかるといいワン。

射撃練習の時はほかに何を持って来ているんですか?

まずは、きちんと整備してきた猟銃だよね。その登録許可証も必ず携行。装弾も購入しておきますよ。あとは、サングラス、グローブ、防音のためのイヤーマフを持参。射撃競技の練習をする方は専用のベストも持って来ていますね。

練習の服装はみなさんカジュアルな普通の服なんですね

はい、動きやすければいいと思いますよ。では行きましょう!

持ち物や服装の準備。いずれありちゃんも経験することだから、いろいろ気になるようですね。虎谷さんは装弾を用意してきました。弾は射撃場で売っている場合もあるけれど、自分の猟銃に合ったものが揃っているかわからないので事前に購入しておく方がいいでしょう。装弾は種類やメーカーによって個性が出ることもあります。なるべく同じメーカーのもので練習を続けるといいですよ。あと、撃った時の衝撃をやわらげるため、ありちゃんにはベストの着用をすすめます。

なんだか立派なスポーツセンターみたい!きれい。

ここは特にきれいな施設だね。

ありちゃん、こっちで見学札をもらうんだって。ボクの首輪に着けてよ。

はーい。意外に普通の事務所のようだよね。

こっちは空気銃の射撃場です。

学生さんたちが練習しているワン。女の子もいるね!

そっか!射撃の部活があるんだね。もっと大きな音がするかと思ったけど、そうでもないんだ。ちょっとバッティングセンターを思い出すような音だね……。

今日見学してもらうのは、あちらのトラップ射撃場だよ。

わ。半分が屋内で、何だかゴルフの打ちっ放しみたい。

ありちゃん、とにかく自分の知っている場所に例えようとしているね(苦笑)。

実際に訪れてみて銃砲店のイメージも変わったけど、ドラマで見るような地下の暗〜い特別な場所を想像していたの。予想外にフツーのきれいな施設だよ!ってお伝えしたいのです。

左>空気銃の射撃場。屋内ですがとても明るい雰囲気です。
右>数名の方が練習していたトラップ射撃場。

いざ!トラップ射撃(の見学)へ。

はい、ありちゃんこれをどうぞ。

耳栓?

見学の人もした方がいいよ。犬クンは……

あ、ボクはタレ耳でふさぐので大丈夫だワン。

(でも、空気銃もそれほどの音じゃなかったし、実際の音も聞いてみたいから、まずはそのままでいいかな……)

でははじめますね。

こちらがトラップ射撃。音を聞いてみてください。

「ハイッ!」(虎谷さんの合図でクレーが発射される)
ズパアァァァァンンン………!!!!

ひゃあ!これが射撃の音!!お、大きい音だった。やっぱり耳栓しなきゃ。

そう、最初はまず銃声の大きさにびっくりするよね、ありちゃん。自分の教習射撃の前に体験できて良かったかもしれませんね。
トラップ射撃とはクレー射撃の競技のひとつで、みなさんもオリンピックで見たことがあるかもしれません。散弾銃を手にした方はたいていこのトラップで腕を磨きます。
クレーと呼ばれる素焼きのお皿を手前から奥に向けて飛ばし(だんだん遠のく)、1ラウンドで25枚のお皿に挑みます。1枚のクレーにつき2発まで撃ってOK。ちなみに1発目は初矢(しょや)、2発目は二の矢(にのや)と呼びます。

おおお、おつかれさまですワン。

おつかれさま!音はどうでしたか?

ズドーンって響いて予想以上でした!空気銃とは全然違うんですね。ところで、あの「ハイ!」とか「ホイ!」とか言っていたのは何ですか?

あれはクレーを飛ばしてもらう合図です。各射台の前にマイクがあるんですよ。射手の好きな掛け声で合図を送ります。

スコアは電光掲示板なんですね。ボーリング場みたいだ。

また例えたね(笑)。確かに。当たったら緑のランプで外れたら赤。すぐにスコアが反映されます。

あと……、クレーの動きが予想以上に早くて、全然見えませんでした(がっかり)。

見学者は後ろに下がっているせいもあるから、そんなに落ち込まないで。

はい!その分、当たった時は気持ち良さそうだな〜って思います。とにかく、みなさん集中して撃っている姿がカッコイイですね。

ホント、ホント!射手のみんなの構え方や狙う姿がそれぞれ違ったのも面白かった!

それぞれ個性があるでしょ?

あと、あの煙がステキだった〜。

???ああ!薬室から出る煙ね。

なんのこと?

上下二連銃などの元折銃は銃身と銃床を折るようなカタチで弾を装填するんだ。撃った後に散弾銃を二つ折りして銃身の薬室から薬莢を取り出す。その時に中から煙が出るんだよ。

そっか!花火みたいなニオイがしていたのには気がついたんだけど。

ほのかな火薬臭はワタシも気付いた!

射撃と、獲物と、森のこと。

ここは休憩室。射撃に来ている方々とおしゃべりして情報交換することもありますよ。

女性の方もいらっしゃいますか?

たくさんはいないけど、時々いますよ。年齢層も幅広いです。

クレーを撃っている様子を見て、猟銃の威力を実感しました。これで獲物を捕らえるんだなって。

クレーが鳥のようにも見えたよ。

おお、さすが猟犬見習いだね。クレーはクレー・ピジョン(粘土のハト)とも呼ばれるんだ。昔は本物のハトを使っていたらしいよ。

それ、練習じゃなくて本番ですね!実際に獲物を狙っているようなイメージを持つんでしょうか?

クレーでも獲物でも狙っている時はあまり何も考えずに集中しているかな。獲物はあらゆる方向に逃げるので、いろいろな練習をしておくと実猟で役立つと思いますけどね。

やっぱり猟銃に慣れて、射撃の練習はしっかりしておきたいな。

そうだね。あと大切なのは銃の手入れ。実猟で使うと泥が付いたりするので、銃に慣れる意味でもしっかり手入れをするといいよ。

ハイ!どんな猟銃を持つのかまだわからないんですが……。

銃砲店にも行ったみたいだから聞いたと思うけど、自分の体に合ったものを選んでね。初めて猟銃を持つ場合は散弾銃しか持てません。散弾銃でもシカやイノシシの猟をするためには、大物専用のスラッグ弾といわれる一発玉を使います。この弾の発射時の衝撃と音がとても大きい!

今日聞いた音もびっくりしたよ。

中には、スラッグ弾の衝撃にどうしても慣れることができず、狩猟そのものをあきらめてしまう女性ハンターもいるようです。体の小さな女性には男に見えない障壁が多いんだなぁ、と思いました。大物猟が大変なら、無理をしないでエアライフル(空気銃)による鳥猟から徐々にはじめてみるのもいいかもしれません。

ワタシは散弾銃でがんばってみたいです!自分で仕留めた鹿肉料理をいただくのが夢なんです!

ワホ!そんな夢持ってたっけ?

うん!最近特に思うんだ。森や畑を守るために捕獲した獲物でも、しっかり食べたいって。自分で仕留めたんなら特にね。

それは頼もしい!でも決して無理せず、狩猟に親しんでいってくださいね。ハンターデビューしたらご一緒しましょう。

ハイ!ありがとうございます。

猟期は冬。それまでのシーズンはハンターの練習期間です。この時期にしっかり練習することが、猟果や狩猟時の安全に関わってきますよ。
射撃場での練習にかかる費用の目安は、一日に4ラウンド練習するとして利用料が五千円ほど(入場料が1,000円前後、クレーは1ラウンド[25枚]で1,000円強)。装弾も4ラウンドで五千円ほど(クレー射撃専用弾150発)。射撃場ごとに価格のばらつきはありますが、だいたい一日一万円くらいで練習できるでしょう。
猟期以外も猟銃を置きっぱなしにするのではなく、練習の度にメンテナンスしたり、家の中で構えの練習したりしてほしいですね。

使用されていなかった隣の射撃場に立ってみるありちゃん。射手の気持ちを感じられたかな?

 最初は銃声の大きさに驚いていたんですが、耳栓をしてからは射手の皆さんの構えや集中する姿に釘付けでした!自分も正しい構えで、慌てずに出来るよう練習したいです。
 今回見学させてもらった虎谷さんは狩猟体験ガイドもされている方。せっかくなので狩りガールやその予備軍のみなさんに期待することを聞いてみました。

 今、日本の農山村は鹿や猪が増えて大変に困っています。現在、田畑を荒らす獣を「有害鳥獣捕獲」として捕獲していますが、その際に獲られた獣の肉はほとんど活用されずに廃棄されています。奪った命を無駄にすることは、私たちハンターにとっても本意ではありません。できればおいしくいただきたい……。だから「鹿肉料理を食べたい」と思うありちゃんの気持ちはうれしいですね。
 狩猟者は高齢化して人数も減っているので、狩りガールのみなさんにも期待したい。それと同時に、ハンターにならなくても狩猟に理解のある方が増えることを期待します!旅先やレストランで鹿や猪の料理を見つけたら積極的に注文してもらいたい。「自然と森を守ろう!」との思いをハンターと共有してもらえたらいいなと思います。

虎谷健(とらたに たけし)さん「自然環境に寄り添えるハンターを増やしたい!」と
狩猟体験を提案しているHug! Hug! Nature代表
http://hughugnature.net /


次回のありちゃんも初めての経験をするようですよ。お楽しみに!

次回10につづく!

                 

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