ハンターのだいぞうです。先日、射撃教習を受けて無事合格したありちゃんですが、次はいよいよ書類を揃えて警察に「猟銃の所持許可」の申請に!この申し込みには「所持する銃を決めておく」ことが必要です。そのために猟銃の手配をしなくてはいけません。今回のありちゃんは「手続き」に大忙し!猟友会にも入会しますよ。
射撃教習を受けて試験に合格した後、さっそく次の手続きの準備にかかりました!
また書類を持って、ケーサツに行くの?
うん。ただし、その書類には「この銃を持ちますよ」って、実際に使用する猟銃の情報を記載しなくちゃいけないの。どんな銃がいいかは、以前からだいぞう師匠に相談していたんだよね。
ジューホーテンで買うの?
もちろん銃砲店で買うこともできるけど、ワタシは譲り受けることになったんだよ!
ワホ!それはラッキーだワンワン。
ホント、ラッキーよね。だいぞう師匠の大先輩がハンターを引退して、銃も手放す予定で銃砲店に預けてあったの。それを譲ってもらうことになったんだけど……
そうやって手に入れる方法もあるんだね。でも引退しちゃうのかー。ラッキーだけどさみしいワン。
だよね。こうやってベテランから若手へ譲渡されるケースが増えているんだって。引退される方が多いってことかな〜。
ク〜ン。銃を引き継ぐ人が増えるといいね。
うん。だいぞう師匠の大先輩の思いを受け継ぐような気持ちでがんばるよ。
ありちゃんが譲渡されていたのは、猟友会の大先輩がエゾシカ猟で使っていた銃。彼女が生まれるよりもずっと前に作られた物です。
猟銃は自分が目指すハンティングスタイルによっても変わってきます。また本来なら自分の体格にあわせて購入する方がいいでしょう。けれど今回譲ってくれた先輩も小柄だったので、きっとありちゃんに合うと思いますよ。女性に向いていると言われている口径20番の自動銃です。
さて、所持する猟銃が決定したありちゃん。彼女が所持許可申請にあたって用意した書類は以下の通りです。
○銃砲所持許可申請書(複数所持する場合は各銃ごとに必要)
○譲渡承諾書(譲渡される銃の持ち主からの承諾と、銃についての詳細が書かれているもの)
○経歴書(職歴と住所歴)
○同居親族署書(同居者がいる場合)と同意書(同居人の同意書)
○誓約書(公安の定めた法令についての同意書)
○医師の診断書(3カ月以内のもの)
○調査表(警察署担当者が記載)
○身分証明書
○戸籍抄本
○住民票
○講習修了証明書(コピー)※交付日から3年間有効
○教習修了証明書(コピー)※交付日から1年間有効
○写真(3.4×2.4cm)
※提出する申請書類についてはお住まいの地域の警察にてご確認ください。
申請書類一式抱えて、警察署のいつもの窓口(生活安全課)へ行ってきましたよ。提出する診断書が「3ヵ月以内のもの」とのことなので、また病院にも行ったもんね。
なんだかいつもおんなじ書類を提出しているよーな?
そうだね(笑)。診断書は何と3回目。とっても審査が厳しい気がするよ。提出のときには前回同様、生活安全課の担当警察官さんの面談もあったし。なぜ銃が欲しいのか?の動機から服装や性格、飲酒についても質問された!
何度も何度も調べられるんだねー。
ホント!世間では銃を持つ人って危なく見られているかもしれないけれど、実際にこれだけ調べられているということは「銃を持てるくらい安心人物」って思えるかも?
それですぐに許可が下りたワン?
なーんと!連絡が来たのは申請してから約1カ月半後。予想より長かった〜。所持許可の下りる日にちと、ガンロッカーの点検(立入検査)についての連絡でした。
ガンロッカーって家で銃をしまっておく専用のロッカーだっけ?
そうそう。ウチには女性警察官がやって来て、設置場所や設置方法、鍵の状態をチェック。写真を撮って終了だったよ。
そして許可が下りる日……さっそく警察署に行って……じゃーん!
やったー!
時間と手間がかかった分、感激のありちゃんですね。所持許可が下りたら3カ月以内に「所持許可証に記載されている猟銃」を手に入れなくてはいけません。銃を手に入れたら14日以内に警察署(生活安全課)で猟銃の確認をしてもらいます(申請通りの銃かどうかチェック!)。猟銃を携帯する時は許可証の携帯も忘れちゃだめだよ、ありちゃん。自宅に猟銃がやって来た感想を聞いてみましょう。
ついに猟銃がやって来ました。たとえ弾が入っていなくても、銃との同居って緊張しちゃいます。最初は家に置くのはコワイから、お金がかかっても銃砲店で預かってもらおうかなって考えていたけれど、射撃指導の先生や先輩ハンターのアドバイスで気持ちが変わりました。やはり手元に置いて慣れることが安全への第一歩!
また、自宅での管理、運ぶ際に目立たなくする周囲への気遣いなど、常に責任があることを実感しています。
猟銃を手に入れただけで安心してはいけません。狩猟をするためには、「狩猟者登録」や「保険への加入」が義務づけられています。また「猟場を決める」「狩猟仲間を探す」など、実際に猟に行くために必要なこともたくさんあります。そこでありちゃんには「猟友会への入会」をアドバイス。ハンターになった皆さんにオススメですよ。
さっそくありちゃんは「東京都猟友会」に問い合わせをし、地元の支部を紹介してもらって申し込みに。支部の地区長さんから「手続きに便利!」なだけじゃない猟友会のお話を聞いてきたようです。
地区長さん、よろしくお願いします!
はい、ありちゃん。よろしくお願いします。
今までも会員のハンターさんに会ったことがあるのですが、実際どんな会なのかよくわからなくって……。
ははは。一般的には有害鳥獣駆除を行っているニュース映像のイメージが強いかもしれませんね。でももちろんそれだけではありません。
はい。狩猟を始める時に必要な手続きを手伝ってもらえるってお話も聞きました。
そうです。必ず入らなければいけない保険の加入、狩猟をする都道府県に提出しなければいけない狩猟者登録の代行など、個人では少し面倒な事務手続きを行います。
初心者にはうれしいなぁ。
ありちゃんに猟友会を勧めたい理由は他にもありますよ。狩猟免許と所持許可を取っても、初心者が1人で獲物をとるのはなかなか難しいと思います。鳥や獣、獲物の種類によっても狩猟の方法が違うし、猟をする場所に適したルールや捕り方も知っておかないとね。
なるほど……。
銃の取り扱いや現場のマナーについてもしっかり習うことが大切。そういう色々なことを教えてくれる先輩たちと出会える場所でもあるんです。ありちゃんにも土地に詳しい仲間を紹介しますよ。
わぁ!うれしいです。優しい先輩をお願いします!
ははは。皆さん優しいので大丈夫ですよ。東京都猟友会で行う年4回の射撃大会をはじめ、支部内での射撃大会や支部同士の合同狩猟への参加もできるので、猟銃に慣れる機会がグッと増えます。狩猟の技や地図読みを習ったり、猟場の情報交換もできますね。
なんだか安心して狩猟をはじめられそうですね!
みんなで和気あいあいとしていますから、楽しいですよ。猟友会は集まりを通じてお互いに助け合っている部分も大きいのかな。
ではワタシもよろしくお願いします!
はい!大歓迎です。
というわけで、入会してきたよ〜。
ありちゃんも猟友会会員だね。入会の決め手はなんだったワン?
やっぱり多くの先輩ハンターと出会えることかな。地区長さんのお話を聞いて、より心強く思ったし。
ふむふむ。
狩猟免許取って、所持許可も取れて、銃も手に入れて……、でもそこから「どこで」「どうやって」狩猟をしたら良いかなんてわからないもの。インターネットで仕入れる情報だけじゃ全然足りないもんね。あとね、猟友会に入ると狩猟の機会が増えそうなのが大きかった!
狩猟者登録もしてきたんだよね!
したよ〜!登録の手続きも猟友会でお願いできたから助かったよ。だいぞう師匠が提案してくれた通り、北海道で登録してきました!
やったー!
デビューはだいぞう師匠と一緒にエゾシカを狙いますよ。もちろん、猟友会のイベントなども積極的に参加していきたいな。
ついに猟友会にも入会し、ハンターと名乗れるようになったありちゃん。これでやっと「狩りガール」の土俵に上がったね!あ、女の子に相撲の例えは良くないのかな(笑)。入会することで、保険加入や狩猟登録などの手続きも完了できました。猟友会で先輩の皆さんと出会うことはとても大きなメリットです。ぜひ新人ハンターには入会をオススメしたいですね。
参考までにありちゃんの猟友会入会の費用についても紹介しておきます。
◇保険に加入し、狩猟者登録申請書、狩猟事故共済保険契約証などの書類を提出。
※大日本猟友会では、『狩猟事故共済制度』を実施(保険料は会費に含まれます)。その他、ハンター保険(任意保険)があります。ありちゃんは両方に入りました。
<費用内訳>※支部により会費は変わります。
○狩猟税(1都道府県につき)16,500円(第一種 ※網、わな免許では金額が変わります)
○残滓協力金 1,000円(ありちゃんが登録する北海道は残滓調査のための協力金があります。支払いは強制ではありません)
○狩猟登録手数料 1,800円 ○代行手数料 1,000円
○大日本猟友会会費(狩猟事故共済保険込み)3,000円
○本会(支部)会費 5,000円
○ハンター保険 3,000円
○名札 300円
猟友会の活動内容や、入会のメリットでもある「保険加入」「火薬類の無許可譲渡」「狩猟者登録の代行」については大日本猟友会のサイトに詳しくまとめてあるので併せてご覧ください。
•猟友会とは
http://www.moriniikou.jp/index.php?itemid=52&blogid=13
•ハンターになるには〜猟友会への入会について
http://www.moriniikou.jp/index.php?itemid=852&catid=21&blogid=12
地区長(東京都猟友会) 狩猟歴50年以上のベテランハンター。最近では狩猟そのものより仲間と集うことが楽しいと笑っていた地区長さん。「若い方にも興味を示してもらえるように狩猟と猟友会の魅力を発信していきたい」と話してくれました。
次回16につづく!