Vol.6
実猟レポート その2
みかん味のヒヨドリ
ありです。
実はシカやイノシシを追うグループ猟だけでなく、鳥撃ちにも行っています。
先輩ハンターさんから譲ってもらった空気銃は、漫画『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』の主人公の岡本さんに憧れて、同じ種類の「ポンプ式」のもの。ポンプ式は一発ごとにポンプを操作して、空気を圧縮させて撃つ銃です。連射はできないので、逃げられてしまうことも少なくないのですが、一発に集中してじっくり撃てる感じが楽しいんです!
今回は、みかん畑にヒヨドリ撃ちに行った時のお話です。
ところで皆さんは、ヒヨドリ見たことがありますか?
実はヒヨドリ、街中でもよく見かけます。高めの声で「ピィーヨ、ピィーヨ」と鳴いて、ほっぺたが赤くてかわいい顔をしています。パンクロッカーのように頭の毛が少し逆立っているので、遠くからでもシルエットでわかります。
猟の前には、おじゃまするみかん畑の農家さんにごあいさつ。
畑に人が出ていないことも確認します。
昨年はみかんが全滅した畑もあったそうで、大事なみかんを食べられてしまうので、農家さんにとってはヒヨドリは天敵ですね。実際に畑に入ると、あちらこちらに食べかけのみかんが……。あらら、これだけ食べられてしまうと、本当に大変です。ヒヨドリ撃ちは農家さんの役にも立つんだな、と思いながら、猟をスタートしました。
まずはスコープで覗きながら、鳥の動きを探ります。たくさんの鳥たちがいますが、特にメジロは近くまで寄ってきます。
普段こんなに間近で見ることもないので、かわいい!!
メジロは狩猟対象鳥獣ではないのですが、まるで「わたしは撃たれないんでしょ!」と知っているみたいですね。
しばらく見ていると、鳥たちがよく留まる枝がわかってきます。
よし、あそこに定めて、狙い撃ちだ!
スコープの中心にヒヨドリが入った瞬間に……パンッ!
やった! まずは一羽、獲れました!!
今シーズンはこの辺りヒヨドリが少ないようで、地元の方によると、ここ10年でも一番少ないのだとか。その後も、声は聞こえているのに姿が見えない時間が続き、結局その日の猟果は、先輩も私も2羽ずつでした。
そして……やさしい先輩から4羽ともいただいてきちゃいました。
さて、帰ってきたら羽をむしって、解体です。
心臓・レバー・砂肝の内臓3点は爪楊枝に刺して「日本一小さな焼き鳥」を作りました!
さてこの砂肝、どんな味がすると思いますか……? そうです、みかん味!
みかんのさわやかな香りがして、コリコリでおいしい!
実は砂肝を開いたとき、たくさんのみかんが出てきました。
やっぱりたらふく食べてましたね、この子たちは。
(農家さん……涙)
肉は丸焼きとスープにしました。
ヒヨドリは肉が少ないのですが、パリパリに焼けば骨ごと食べられます。
特にお尻周りの脂は、甘みがあっておいしい。う~ん、コクがある!
ムネのあたりは唯一、厚みがある部分です。あのかわいい顔からは想像できない、しっかりと力強い味。本当においしい!
残った骨たちはスープに戻して再び煮込み、ヒヨドリのガラスープで締めのラーメンも作って、丸ごと堪能しました。
わたしはみかん畑に住むヒヨドリしか食べたことがないのですが、棲む場所によって食べるものが違うので、味も変わってくるのでしょう。場所や季節によっても味が違うのは、ジビエの楽しみですからね。
今回は実猟レポートのはずが、食レポになってました(笑)。
ごちそうさまでした!