読者の皆さん、お久しぶりです！ 都会の若い女性が狩猟に挑んだドキュメント「目指せ！狩りガール」を応援いただきまして、ありがとうございました。
さてその新米ハンターありちゃんですが、おかげさまでデビュー戦の最後を見事な猟果で飾って、無事に最初の狩猟シーズンを終えました。そして今年……とはいっても猟期まではまだ間がありますが、狩猟初心者から若手狩猟者への成長には、まだまだ勉強しなければ……と考えているようです。
猟銃で獲物を仕留める射撃の技術は、射撃場で練習を重ねることで、初心者でも向上を図ることが可能です。もちろん優れた指導者も必要ですが、熱心に射撃場に足を運べば、きっと巡り会えることでしょう。
しかし、それだけでは優れた狩猟者になることはできません。野生の獲物を探し、発見し、気づかれずに狙う現場での技術は、流し猟、忍び猟、巻き狩りのそれぞれに大きく異なるものですし、なりよりも猟場の自然は千差万別で、出かけるたびに条件が変わるものです。もちろん網猟にもわな猟にも、同じように現場での技術が必要です。そしてその〈猟場の知見〉は、やはり〈狩猟の経験値〉からしか学ぶことのできないものなのです。
さてさて、次なるステップを目指す新米ハンターとしては、どうしたらいいのでしょうか──。
だいぞう師匠、昨シーズンはいろいろとありがとうございました！
いや、ありちゃん本当によくがんばったと思うよ。最初の狩猟シーズンから猟果を上げるなんて、なかなかできないからね。カリタローも、おかげで新鮮なシカ肉のご相伴にあずかったからね。
ホントに美味しい肉で、大満足だったワン！
でもあのデビュー戦は、ガイドハンターさんに手取り足取り指示していただいて、まだまだ半人前のビギナーズラックだったと思ってるんです……。
最初の猟期が終わって、この冬の猟期まではまだ間があるんだけど、そんなビギナーがまず一人前になるには、どんなことを考えてるのかな？
いまの私が自分の努力としてできることは、まず射撃練習ですね。きちんと狙って、きちんと撃つ──それができないと始まりませんからね。
そうだね。でも、それだけじゃ猟にならないということも、実際に猟に出てみて感じたと思うんだよ。いくら射撃の技術が向上しても、獲物を見つけられないと狙うことすらできないからね。
それじゃいつまでたっても美味しい肉が届かないワン。
そうなんです。車を運転しながら、ガイドハンターさんは次々にエゾシカを見つけてくれたんですけど、私はいくらキョロキョロしても、ぜんぜん見つけられなくて……。
視力の問題だけじゃないからね。自然の中で野生鳥獣を探すには、その生態についての知識が必要なんだ。でも、それは資料を読んだだけで身に付くものじゃない。狩猟の現場ごとに異なる自然環境の中で、その知識を使うことに慣れなきゃならないんだよね。
本当にそうですね。痛感しました。で、それを身に付けるためにはどうするのがいいのかと考えているんです……。
そのためには、やっぱり現場の経験に学ぶのがいちばんだよ。日本には長い年月で培われてきた狩猟の文化があり、全国には先人の技術を受け継いできたベテランの狩猟者が数多くいて、まだまだ現役で山に入っているんだ。でも狩猟人口の減少傾向と、狩猟者の高齢化が進んだことで、そんな達人たちが知恵と技を伝えるべき若手に、出会えなくなってきているんだよね。このままだと日本の狩猟文化は失われてしまうかもしれない。それを引き継ぎ、後世に伝えて行くためには……？
会いに行けばいいんだ！
そう、山ごとに達人がいたとして、その技術には山ごとに、つまり達人ごとに異なる部分もある。だから話を聞くだけじゃなく、実際に達人の猟場を案内してもらって、自然の中で教えてもらうのがいちばんだね。
ワタシ行きます！ というか会いたい！ そんな達人の皆さんを、ぜひ紹介してください。
よし、じゃあ全国の達人さんたちにお願いしてみよう！
そんなわけで「目指せ！狩りガール」のシーズン2では、大ベテランの狩猟者さんを訪ねて、いろいろと教えていただくことになりました。題して〈教えて！狩猟の達人〉ということで、次回から、全国の猟場を巡る旅に出かけます。皆さん、お楽しみに！
よく食べ、よく遊ぶアウトドア好きな会社員が、狩猟の世界に飛び込んで新米ハンターに。東京都内在住。
猟友会に所属している優しきオジサマハンター。自然のことにも詳しく、ハンター仲間として若者を育てています。
狩りガール活動を応援するジビエ好きの犬。ありちゃんと一緒に勉強して、いつかカッコイイ猟犬になるのが夢。
