達人はどこにいる……?

 

都市生活者の若い女性が、ふとしたきっかけで挑戦した狩猟者への道。実は「狩りガール」のほかにも、全国には同じ思いの若い新人ハンターが、年を追うごとに少しずつ増えているようです。その一方で、狩猟者全体の減少傾向と高齢化はまだまだ続き、猟期の狩猟活動だけでなく、駆除捕獲でも稼働率の高いアクティブな地域であっても、現場の狩猟者の中での「若手」が50代……というケースは珍しくありません。その下の世代にとっては、狩猟活動との間に大きな距離が開いているのが現実です。つまり、現代の狩猟者には世代間の断絶が発生しているのです。

このままでは、新たに狩猟者を目指す本当の「若手」が増えたとしても、きちんと育ててもらえるような先輩ハンターには、身近なところでは出会えません。その大先輩たちには、全国の奥山、里山、水辺のそれぞれに最適化された狩猟の知見と技術がありますが、しかしベテランから見ると、それを伝えるべき「若手」が身近にはいない──ということにもなってしまいます。このままでは、長い歴史の中で培われてきた「日本の狩猟文化」そのものが、いずれ失われてしまうかもしれません。

「教えて!狩猟の達人」では、そんな狩猟文化の中で生きてきた、そしていまも現役で山に入っている大ベテランのハンターさんたちを、全国の津々浦々に訪ね、実際に猟場でも教えを請いながら、知識や技法だけでなく、その哲学をもアーカイブしていきたいと考えています。次の世代でも、人と獣がよりよく棲み分けることができる自然の環境を守るために──。

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