目指せ!狩りガール
ありちゃん日記

最終回

狩りガールは、つづく。

狩りガールは、つづく。

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東京は桜が咲いて、すっかり春めいてきました。

山ではイノシシがタケノコを鼻で掘って食べているころでしょうか。
タケノコをたらふく食べたイノシシは美味しいと聞きますが、どんな味になるのかな……気になります!

さて、狩猟シーズンも終わって次の猟期までお休みだと思っていたら、「有害駆除隊に入らない?」と先輩から連絡がありました。
どうやら春からも猟場に通えることになりそうです。

そんなわけで最終回は、有害鳥獣駆除についてです。

ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、いまは猟期以外でも「有害鳥獣駆除」として猟が行われています。

ニュースでもよく取り上げられていますが、野生鳥獣による農作物の被害額は、2014年度の場合、全国でなんと約191億円。自然と野生鳥獣のバランスが崩れている近年では、猟期以外でも適切な狩猟圧をかける必要があり、自治体からの要請を受けた狩猟者たちが、エリア・期間・動物の種類とその頭数など、決められた範囲の中で有害鳥獣駆除を行っています。

畑


私の通う猟場でも、動物から畑を守るための柵に囲まれているのを見かけます。

農家の方にとっては、田畑を一気に荒らされてしまうと大きな損害が出るだけではなく、次に作ろうという意欲まで奪われてしまうケースもあり、大きな悩みとなっています。
猟期以外も出猟できるのは、私のような若手ハンターにとっては、経験を積むうえでもありがたいお話ですが、先輩は「やっぱり猟期と駆除は気持ちが違うんだよなー」と。むむむ、私にはまだ分からない感覚です。

そういえば、「大阪府の猟友会が『大阪ハンティングアカデミー』(仮称)開校」というニュースを見ました。

適切な駆除が行える人材を育てるのが急務となっているようです。
狩猟免許は取ったけど出猟はしていないとか、仲間が見つからないとか、そんな声も最近よく聞くので、こういう若手育成の取り組みが広がって、ベテランと若手が協力して地域の自然を守っていけるといいなあと思います! 私もがんばらないと!!

狩猟者


さて、狩りガール3年目の私の日常をお届けしてきた「ありちゃん日記」も、ついに最終回です。

狩猟をはじめてから、週末の過ごし方が変わり、塊肉ばかり食べるようになったり、お肉で物々交換をしたり、そして身体も……中性脂肪が大幅に落ちたり、ももが太くなったりと変化が生まれました。なんだか生きる力が鍛えられたような感覚です。

さらに、本当にたくさんの良い出会いがありました。
命を無駄にしないよう、あらゆる部位を活かすためにメニューを考えるシェフ、獲れたお肉の流通のために尽力している社長さん、ジビエを活かして町おこしをしようとする若者たち、角や皮を使って素敵なバッグやアクセサリーを作る女性、若手育成のためのカリキュラムをつくる達人、狩猟と関わる伝統芸能を伝承する若者……私たちのような狩猟者だけではなく、たくさんの方々がそれぞれのカタチで狩猟と関わっています。(とにかく熱い方が多いです……笑!)

きっと皆さんの暮らしともそう遠くないところに、狩猟の世界への入り口って、たくさんあるんだと思います。

思い出


また、私自身のこの3年間でいちばん変化があったのは、自然に対する思いでした。

自然は「愛でるもの、癒しを得るもの」だったところから、「関わるもの、恵みを得るもの」へと変わりました。実際に山の恵みを食べて暮らすようになると、猟場近くの自然は私にとっては他人事ではありません。関わっていくことで責任も生まれるし、同時にとても大切なものになりました。

「ハンターは森のレンジャーでもある」

私が狩りガールへの一歩を踏み出す後押しをしてくれた、大切な言葉です。
これまでの3年間は自分のことで精いっぱいでしたが、これからは、レンジャーになれるほど猟場の自然を知り、狩猟を通じて地域やその自然ともっと関われたらと思います。
そして続けていくうちに、その変化に気付いたり、また違う世界が見えてくるのでしょうか……とっても楽しみです!

山

そんなわけで、ありちゃん日記はこれにて終わりますが、私の狩りガール人生はまだまだ続きます!
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう!

またね